催眠現象の説明をしていきますが、ウォルベルグの催眠段階を紹介するのが良いと思います

ウォルベルクによる催眠段階


覚醒状態

催眠誘導のごく初期の段階。
目がうずく、涙ぐむ、目がだるくなる、まばたきが増えるといった現象が生じる。

類催眠状態
手がだるくなる、ぼんやりする

軽催眠状態
閉眼、筋肉の弛緩、瞼のカタレプシー(閉じたら開けない)、手足のカタレプシー、意志運動の禁止(「立ち上がれません」といった暗示への反応)、自動運動(「手が自然と挙がります」といった暗示への反応)

中等度催眠状態
皮膚感覚の幻覚、部分的な無痛、部分的な後催眠性の無感覚(「催眠から覚めると、あなたは右手に何も感じなくなっている」といった暗示への反応)、性格の一時的な変化。

深催眠状態
簡単な後催眠性暗示(「催眠から覚めると、あなたは頭の上に手を置きます」といった暗示への反応)、広範囲の無感覚、情動の変化、幻覚、退行。
無遊様催眠状態
完全な後催眠性健忘(「催眠から覚めると、あなたは○○のことを思い出せない」といった暗示への反応)、催眠状態を壊さずに眼を開くことが出来る、奇妙な後催眠性暗示、後催眠性の正の幻視(ないものが見える)、後催眠性の負の幻視(あるものがみえない)。


催眠の深さによって、生じえる催眠現象が異なります。これらの状態には急激に入ることは、基本的にはありません(キーワード法など例外はありますが。)催眠を徐々に深くしていくことが必要となります。そして、誰しもが深い催眠状態に入っていけるわけではありません。生まれつき、催眠への入りやすさというものがあるようです。




類催眠状態
これは催眠状態のごく初期の段階です。なんとなく手が重たいような、動かすのが面倒なような感じがします。この段階にはだいたい
95パーセントの人が到達します。

軽催眠状態
類催眠状態をさらに深めていくと、被催眠者の肩から力が抜けていくのを観察することが出来ます。首の辺りがだらんとなるなど、上半身に目だって弛緩が見られます。
目蓋が閉じるとの暗示に反応します。また、手を持ち上げてそっと話すと、手をその状態でとどめておくといったカタレプシーが見られます(ミルトン・エリクソンの握手誘導法は実に見事ですよ)。
立ち上がれませんといった禁止の暗示もこの段階で有効になりますが、中にはがんばって動いてしまう被催眠者もいます。
また、自動運動が可能になるので、はいなら人差し指、いいえなら中指で、無意識に尋ねるという指答法が可能となります。
この段階は大雑把に
75パーセントくらいの人が入ることが出来ます。
あまり深くに入らないことから、無意識にある葛藤を掘り起こさないので、比較的安全です。リラクゼーションを目的とした催眠誘導であるならば、この段階で十分効果が得られます。

中等度催眠状態
これまでの状態では、被催眠者は「催眠に入っていた気がするけど、入っていないといえば入っていないんだよな」といった感想を持ちやすいですが、中等度催眠状態まで深くなると、かなり劇的な現象が生じますので、被催眠者は大抵、自分が催眠状態にあったことに納得します。
この段階では、虫が腕を這っているといった皮膚感覚の幻覚や、部分的な無痛が生じます。また、感覚的な後催眠暗示へ反応します。
ここで面白いのが、性格の一時的な変化(暗示により他者になりきってもらえる)が生じることです。これは、相手の立場をよく理解するためにはとても有効だと思います。カップル療法なんかに使うと面白いでしょうね。
これは
50パーセンくらいのひとに生じます。結構少ないでしょ?

深催眠状態
ここまで深くなってくれる被催眠者さんには本当に感謝ですね。初めてここまで入れたときにはぞくぞくしました。あ、失礼。取り乱しました。
この状態では、簡単な後催眠暗示に反応します。また、無感覚や情動の変化、幻覚、退行が生じます。
催眠で感覚麻痺を起こして手術をするといったことがありますが、全員が全員この深さまで入れるわけではないので、実用的ではないですね。
情動の変化をうまく利用すれば、心理療法に適用できる気がします。だれかやってみませんか?催眠分析という精神分析を催眠状態でやろうという技法は、この深さで行われることが多いですね。
退行に関しては、実際にその年齢まで退行しているのか、退行したつもりになっているのか議論の余地がありますが、エリクソンのフェブラリーマンの事例は感動的でした。見事に催眠退行を用いて心理療法を行っています。
えっと、この状態へはなんと、
25パーセントくらいの人しか入れません。

夢遊様催眠状態
この状態になると、後催眠暗示で完全な健忘を作り出すことが出来ます。名前や数字といった、普通忘れないだろってものもすっかり忘れてしまいます。また、目を開いた状態で幻覚が生じるので、めがねをかけた人が見えなくなってしまったり、目の前にトキの群れが見えたりします。この状態では非常に有効な精神分析を行えるそうです。
ただし、被催眠者にあまりに負担がかかっていると、覚醒しなくなるそうな。怖いですね。この状態には
5パーセント程度の人しか入れません。


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