ブリーフ・セラピー

 

ブリーフ・セラピーとは、精神科医M. H. Erickson、人類学者G. Batsonからはじまる「システム理論」「コミュニケーション理論」をベースに発展を遂げた心理療法の一派を指し、論理療法、認知行動療法、精神分析などから短期療法を目指すものは「ブリーフ・サイコ・セラピー」として区別されている。

 

コミュニケーションの語用論(BatsonMRIの研究で、ブリーフ・セラピーの基礎となる)

システムをメタな立場で記述する方法

1)統語論会話における一文一文に関する規則に関する理論

2)意味論言語の記号、信号、象徴としての機能に関する理論

3)語用論コンテクスト(文脈・前後のメッセージ)に関する理論

 

人間コミュニケーションの2つの論理階梯

論理階梯が違うものは独立である。

¡デジタルメッセージ(要素)

  要素に関するメッセージ。具体的には実際に交わされた言葉の一つ一つ

¡アナログメッセージ(集合)

 いくつかの言葉のやり取りを通じて形成される話の文脈や場の雰囲気

 

スキズモジェネシス理論

¡スキズモジェネシス理論アナログ・メッセージの運動法則、つまりメタ・メッセージに関する理論。

¡2つの文脈

 スキズモジェネシス(変化期

 スタビリティ(安定期)

¡スキズモジェネシスは家族システムの変化期であり、同時に精神病の社会因的発生期でもある。

 

スキズモジェネシスの型

¡シンメトリー:競争、張り合い、ライバル関係といった相互作用

¡コンプリメンタリー:支配-服従、披露‐見物といった、支えあうような相互作用

 

üこれら二つの型では互いに相手を制御することが出来る。

üこれらの型が固定すると、エスカレーションして二つに分裂してしまう。

 

 

パラドックス

¡人間の言語はデジタル・メッセージとアナログ・メッセージを区別する明確なコード(符号)は存在しない。

¡そのため2つが錯綜して用いられ、さまざまなコミュニケーションのねじれや錯綜(パラドックス)が生じる。

 

コミュニケーションの病理(神経症)

リレイショナル・レベル(context)が正常でも、コンテント・レベル(content)がおかしいと、受け手の統語論の文法が狂い(contextの分節化の異常)が生じ、神経症を示す。

 

コミュニケーションの病理(うつ病)          

コンテント・レベルが正常でも、リレイショナル・レベルがおかしい(シンメトリーないしコンプリメンタリーなエスカレーションが続き)受け手が、one-up, one-downを自由に行き来できず、うつ病を示す。

 

コミュニケーションの病理(分裂病)

1) シンメトリーの関係(context levelの拘束)

2) 従わねばならないが、従うためには背かねばならない(パラドックス)命令(content levelの拘束)が与えられる。

3) One-downにある者は、メタコミュニケーションによってしかパラドックスを解決できず、かつそのメタ・コミュニケーションも許されない。

*このようなコミュニケーションをダブルバインドという

 

ブリーフ・セラピー

 

 


 

 

ブリーフ・セラピーでは、クライアントの精神障害は、主にクライアントのコミュニケーションの持ち方が悪循環に陥っているからと考える。

MRIブリーフ・セラピーの前提

 「問題とは、患者または患者と相互作用する他人の現在進行中の行動によって維持される場合に限り存続するものであり、そのような問題維持行動(解決努力)が適当に変化したり除去されたならば、問題は、その性質、原因、罹病期間に関わらず、解決あるいは速やかに消失するであろう」

 

第二次変化を目指す

¡第一次変化:群内(content)のどんな変化も群自体(context)に変化をもたらさない。

¡集合のコミュニケーションを反転させることで、まったく別の集合体を生成する。

 

第二次変化の原理

¡第一次変化として認められている「解決」に対して適用される。

¡第二次変化は、普通、奇妙で予想外の常識にそぐわないものに思え、この過程には逆説的要素が存在する。

¡重要な問いは「何故」ではなく「何が」である。

¡解決努力を繰り返すパラドックスのわなから開放し、他の枠組みに置きなおす。

 

一般的介入法(逆説技法)

一つ一つの要素である解決努力ではなく、それらを一括したラベリングである主訴推力を探し出し、そのまったくのことをさせる。

 

拒食症の例

「あなたはもっと食べなくてはいけない」(A

→ 「あなたはもう食べてはいけない」(〜A

「彼らは彼女が食べるのを褒める」(AUB

   →「彼らは彼女が食べるのを叱る」(〜AUB

 or →「彼らは彼女が食べないのを褒める」(AUB

 

食べられないという症状でシステムのメンバーをコントロールしている。食べないことを勧められると、その行動の持つ意味合いは質的に異なってしまい、その症状ではメンバーをコントロールできなくなる。よって、症状は放棄され、他の行動がとられる。

 

特殊介入法@

自然にしか起こりえないことを無理に起こさせようとしてきた解決努力には…

理論的かつ指示的説明を加えて、患者がその行為に失敗するよう指示する。

 

特殊介入法A

恐怖を感ずる事柄を先延ばすことで、その恐怖を克服しようとする解決努力には…

クライアントが与えられた課題を完全に遂行できないように制限しておきながら、その恐怖の課題にクライアントをさらす。

 

特殊介入法B

反対のことをすることで合意に達しようとする解決努力には…

悩みを訴える人にone-downを取らせる。

リフレイムが必要とされることも多い。

 

特殊介入法C

こちらの言うことを相手が進んでやるように仕向ける解決努力(「私はこうしてほしいが、それ以上に、彼が自らそれをしたいと思ってほしい。」)には…

たとえその頼み方が独断的になろうとも、直接に頼むようにさせる。

 

特殊介入法D

自分を守ろうとして、責め手の疑惑をさらに確実なものとする解決努力には

二者のどちらか一方を、今まで繰り返してきた役割から離すか、対人的コミュニケーションのもつ情報価値を下げるように企画する

 

現職のカウンセラーの話。

MRIやソリューション・フォーカスト・アプローチの理論は極限まで単純化されていて、分かりやすいが、実際にはこんなに簡単じゃない。理論と実際の現場との距離は大きい。

 

ブリーフ・セラピーの各学派

システムズ・アプローチ(主に催眠は用いない)

問題志向

 MRI Mental Research instituteの略。始めてBrief Therapyという言葉を用いた。

 Haley :MRIから独立。構造主義の立場を取る。Milton, H, Ericksonの弟子でもある。

 Madanes :ポスト構造主義の立場を取る。

解決志向

 BFTC :Brief Family Therapy Centerの略。Solution Focused Approachを主張。成功事例に共通して見られる要素から技法を作った。

Neo-Ericksonian(時に催眠を用いる)

可能性療法 :O’Hanlonが提唱。最もMilton, H, Ericksonの治療に近い手法を取る。

Zeik Erickson財団の代表。種まき、仕立て、ラッピングなどの技法を使用する。

Rossi :ユング派。Ericksonの共同研究者でもあった。ウルトリディアン・リズムを利用したアプローチを提唱。

NLP(神経言語プログラミング):Virginia SatirFriedrich PerlsMilton ,H, Erickson3人から効果的なコミュニケーション技法を研究した。Ericksonian-hypnosisを用いる。Neo-Ericksonianに含める人もいるが、純粋にEricksonの流れを引いていないので、ここでは分けて載せた。


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